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◆5
「どうしよう……」
そうつぶやくと、急にそのことが現実味を帯びる。
目の前に私の思い人がいた。本当にもうドキドキだ。
額に小さなこぶ。テニスボールがぶつかったときの衝撃で、ただ脳震盪を起こしただけだと
は聞いたけど、やっぱり心配。
そして今、保健室には私と彼以外の姿はない。
本来いるはずの養護教諭は、階段から落ちた他の生徒を連れて病院に行ってしまった。
チョコレートだけおいて帰っちゃおうか。そんなことを考えて私は慌てて首を振る。
ちゃんと言わなきゃ。私の気持ち。
バッグからチョコレートを取り出して胸に抱く。作るのけっこう大変だったんだから、ちゃ
んと渡したい。
「早く起きてくれないかなあ」
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